FOLLOW NDU NIIGATA

地域の方へ

東日本大震災歯科保健医療支援活動報告

東日本大震災に被災されました皆様に、心よりお見舞い申し上げます。そして、犠牲になられた方々に深い哀悼の意を表します。 東日本大震災は、未曾有の津波被害により避難生活が長期化することが予想されています。大規模災害時の医療支援は、災害派遣医療チームDMAT(disaster medical assistance team)をはじめとする緊急救出医療が重視されますが、長期化する避難生活がもたらす様々なストレスや環境因子から引き起こされる災害関連疾病の予防は、極めて重要となります。特に被災高齢者における誤嚥性肺炎のリスクは、避難生活の時間的経過とともに増大すると言われており、この予防には、歯科保健医療が大きな役割を担うことになります。

新潟県中越地震、中越沖地震では、震災関連疾病、誤嚥性肺炎予防のために、中長期的な健康対策、保健医療が重視され、本学が積極的に参画した新潟県歯科医師会歯科保健医療支援活動もその一環としての役割を担いました。新潟モデルとされる局地型大災害の歯科保健医療支援活動は、応急歯科診療のほか、中長期的に健康サポート事業等を通じて避難所や仮設住宅における巡回口腔ケアを継続的に行うものです。
 
今回の震災では、集団移転や広域避難といった新たな避難体制がとられ、被災地周囲地域においても対応が求められる事態が生じました。新潟県内には、最大で9,000人を越える被災者が避難し、県内各所に避難所が設置されました。そこで新潟病院は、早くから新潟県歯科医師会災害対策本部に参画し、支援室長が総括担当として対応にあたりました。歯科医師会は、いち早く各避難所に歯科医療相談窓口を設置し、歯科医療需要を分析し、必要に応じて巡回口腔ケアを開始しました。また、避難生活における口腔ケア啓発ポスターを新潟病院と共同で作製、配布し、被災地の歯科医師会にも提供する体制を構築しております。8月31日を持って新潟県内の避難所は概ね閉鎖され、大半の避難者は新潟県内の仮住居に入居しましたが、引き続き地域ぐるみの継続的支援が必要と考えています。
 
一方で、新潟生命歯学部は、3月15日に日本歯科医師会からの要請により、多数の行方不明や亡くなられた方の歯科的身元確認作業のために、全国に先駆けて医員2名を岩手県内の被災地に派遣しました。さらに、新潟病院は3月25日より被災地気仙沼、南三陸町に医員を派遣し、避難所、介護保険施設における巡回口腔ケア支援活動を行うとともに、その後もそのフォローアップの為に、被災地に医員を派遣しています。日本歯科医師会派遣チームの介入が本格化する前の活動であり、避難生活における口腔ケアの重要性の認知度が低い中で、口腔ケア定着に向けて地道な活動が展開され、被災地の状況を全国にむけて発信しました。被災地の介護保険施設は、被災施設の利用者が多数緊急入所しており、ケアが行き届かず、口腔環境は確実に悪化している状況でした。
 
今後、被災地では不自由な仮設住宅等での避難生活がより長期化することが予想されており、中長期的な誤嚥性肺炎対策としての口腔ケアや、生活不活発病予防のための口腔機能維持向上訓練の啓発活動が重要と考えます。新潟病院では新潟県歯科医師会と口腔ケア啓発用イラスト(視覚素材)を共同制作し、新潟県内の避難者はもとより被災地への提供も検討しています。
 
最後に、被災地の一日も早い復興を、ご祈念申し上げます。

東日本大震災 被災地における口腔ケア東日本大震災 被災地における口腔ケア

口腔ケア啓発用イラスト(視覚素材)幼児用口腔ケア啓発用イラスト(視覚素材)幼児用

pic_disaster_geje03.jpg口腔ケア啓発用イラスト(視覚素材) 高齢者用