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■ミニレクチャー1
 



核医学検査による口腔悪性腫瘍の質的診断について
 〜 Tl-201 chloride(TlCl) と Tc-99m-MIBI(Tc-MIBI)〜

佐藤強志
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科顎顔面放射線
 



 [はじめに] 近年の腫瘍核医学の主流はPET検査になりつつあるが、従来から実施されて来たTlClやTc-MIBIを用いた検査は設備や費用の点で簡便に実施される。我々はこれまで口腔悪性腫瘍について、TlClとTc-MIBIが種々の腫瘍に高い集積を示す性質を利用して、腫瘍の質的診断の可能性を検討し、口腔科学会などに報告してきた。TlClとTc-MIBIの腫瘍への集積機序には腫瘍細胞膜に発現する輸送蛋白が関与することが知られ、TlClとNa/K-ATPase、Tc-MIBIとPermeability glycoprotein(P-gp)の関係が報告されている。今回は口腔腫瘍のシンチグラム所見と輸送蛋白発現の関係を中心に発表する。[材料] 口腔原発の良性腫瘍と悪性腫瘍(大部分は扁平上皮癌)である。
 [方法](シンチグラム)TlCl、Tc-MIBIの静注直後から被検部を含む正面像で、初期ダイナミック像(投与直後)と後期ダイナミック像(2.5hr後)を撮像した。初期ダイナミック像と後期ダイナミック像における腫瘍部/対照部のカウント比を求め、各々、初期集積比、後期集積比とした。さらに後期集積比/初期集積比を腫瘍集積比として評価の指標とした。(輸送蛋白)良性腫瘍と悪性腫瘍の組織切片でNa/K-ATPaseとP-gpの免疫組織化学染色を行ない細胞膜発現を評価した。
 [結果] (シンチグラム)TlClにおいて、良性腫瘍の初期集積は中等度、後期集積は軽度あるいは消失し、その結果、腫瘍集積比は1以下の値を示した。悪性腫瘍は初期集積、後期集積ともに強く、腫瘍集積比は1以上の値を示し、また、腫瘍集積比の値は悪性度に一致して大きな値を示す傾向が認められた。一方、Tc-MIBIはTlClとは逆の集積傾向を示し、悪性腫瘍の腫瘍集積比はむしろ小さくなる傾向が示された。(輸送蛋白)Na/K-ATPaseとP-gpの発現は両者とも悪性腫瘍で強くなる傾向を示した。(集積と輸送蛋白の関係)腫瘍集積比の小さい良性腫瘍ではNa/K-ATPaseとP-gpの発現は軽度であった。一方、悪性腫瘍では腫瘍集積比が大きいものほどNa/K-ATPaseとP-gpの発現も強くなる傾向を示した。
 [結論] TlClとTc-MIBIによる腫瘍の質的診断の可能性が示され、Na/K-ATPaseとP-gpの発現が関与するが示唆された。

佐藤強志 先生略歴

1975年3月 九州大学歯学部卒業
1975年4月 福岡大学医学部歯科口腔外科
1980年4月 鹿児島大学歯学部歯科放射線科(現 大学院医歯学総合研究科顎
顔面放射線学)
現在に至る


■ミニレクチャー2
 



口腔領域悪性腫瘍の頸部転移におけるPET-CT診断

中村 伸
東京医科歯科大学医歯学総合研究科口腔放射線医学分野
 



 顎顔面領域の悪性腫瘍に対する画像診断法として、近年PET検査の有用性が注目されるようになった。 PETは静脈内に注入された放射性薬剤の体内分布を検出する検査法であり、CTやMRIといった形態的情報に基づく診断法とは、異なった観点から病変に対する評価を行うものである。一般に悪性腫瘍の診断に用いられる放射性薬剤はFDG(fluorodeoxyglucose)と呼ばれるもので、これは放射性核種18Fで標識されたグルコースの類似物であり、糖代謝の活発な組織に取り込まれる。よって糖代謝の亢進する腫瘍組織などでは高い集積を示し、これを評価することで病変の有無を診断する。
 一方でFDG-PETは糖代謝を指標とした機能的(代謝)情報による診断法であるために、解剖学的な情報は乏しいという問題点があり、解剖学的構造が複雑である頭頸部領域では集積部位の正確な特定が困難な場合がしばしばみられる。近年になりPETとCTの複合したPET-CT装置が登場し、PET画像とCT画像の融合画像(fusion image)を得ることで、こうした問題はおおむね解決されることとなり、集積部位の正確な位置情報の評価が可能となった。
 一般に口腔領域の病変では、他領域の病変と比較して、これらに対する視診や触診が容易なケースが多く、また生検も簡単に行うことができる場合が多いため、腫瘍の存在や良悪性の鑑別にPET検査が用いられることはそれほど多くはない。従って、口腔領域悪性腫瘍に対する術前検査としてのPET診断の役割は、主に原発腫瘍以外の転移性病変の検索であると考えられる。従来から頸部リンパ節の評価では造影CTやMRIによる形態的な画像情報が広く用いられているが、これにPETがもたらす機能的な画像情報を加えることによって、診断能の向上が期待できる。
 本レクチャーでは、口腔領域悪性腫瘍における頸部リンパ節のPET-CT診断に関して、その利点とpitfall、SUV(Standardized Uptake Value : 集積程度の指標)による評価などを中心に、自験例を供覧しながら解説したい。

中村 伸 先生略歴

1992年3月 東京医科歯科大学 歯学部卒業
1997年3月 同大学大学院 歯学研究科 歯科放射線学専攻卒業
1997年4月 同大学 歯学部附属病院 歯科放射線科医員
1998年4月 同大学大学院 医歯学総合研究科 口腔放射線医学分野助手
現在に至る。


■ミニレクチャー3
 



口腔外科領域におけるクリニカルPETの有用性と課題

北川善政
北海道大学大学院歯学研究科口腔病態学講座口腔診断内科学教室
 



 2002年に18F-フルオロデオキシグルコース(fluorodeoxyglucose: FDG)を用いるPositron Emission Tomography (PET)検査が保険適用になり、さらに2005年よりFDGのデリバリーによる供給体制が整ったことからFDG-PET検査が飛躍的に全国に普及してきた。 FDGは糖代謝活性が亢進している多くの癌細胞に集積することからFDG-PETにより従来の形態診断では得られない悪性腫瘍の代謝活性や増殖能を反映する定量的糖代謝イメージングとして、臨床上多くの有益な情報が得られている。口腔癌の治療においては生存率の向上のみならず口腔機能や審美性の温存も重要な課題である。われわれは器官温存を目指した口腔癌治療におけるFDG-PETの有用性について検討してきた。口腔癌患者の治療前および放射線併用動注化学療法後にFDG-PETを撮影、組織のグルコース代謝をstandardized uptake value (SUV)を用いて定量的に評価した。今回は、原発巣とリンパ節転移の検出、治療効果の評価、全身PETの有用性と限界などについて述べる。SUV値により治療効果の予測や治療後の残存腫瘍の有無の評価が可能になり、PET検査結果に基づいた縮小手術も実施している。またSUV値が口腔癌の独立した予後因子になりうることが示唆された。
 しかし、FDGは新しく形成された肉芽組織やマクロファージに集積する事が指摘されており、しばしばFalse positive例を経験する。 そこで2006年よりアミノ酸代謝を反映する11C-メチオニン(Methionine: MET) をトレーサーとするMET-PET研究も行ってきた。MET-PETは腫瘍増殖能をよく反映し炎症細胞にも集積しにくいという利点を有しているため放射線化学療法の早期の効果判定に有効と思われる。METは半減期が20分と短時間なためサイクロトロンの設置が必要であるがFDGと同日検査が可能である。FDG-PETとMET-PETの診断能の比較や細胞増殖能、細胞密度との関連についても紹介する。
 さらに、最近増加傾向にある骨髄炎へのFDG-PET検査の応用についてもお話したい。

北川善政 先生略歴

1983年3月 東京医科歯科大学歯学部卒業
4月 東京医科歯科大学歯学部専攻生入学(第1口腔外科学講座)
1984年4月 東京医科歯科大学大学院歯学研究科博士課程入学
1988年3月 東京医科歯科大学大学院歯学研究科修了(第1口腔外科)             
4月 東京医科歯科大学歯学部附属病院医員
10月 伊豆赤十字病院歯科口腔外科勤務 
1989年4月 東京医科歯科大学歯学部附属病院医員(第1口腔外科)
1990年5月 浜松医科大学医学部附属病院歯科口腔外科助手
1993年4月 福井医科大学医学部附属病院歯科口腔外科講師
2001年5月 米国ミシガン大学口腔顎顔面外科出張(2002年3月まで)
2004年7月 北海道大学大学院歯学研究科口腔診断内科(旧第1口腔外科)
教授
現在に至る


■ミニレクチャー4
 



口腔癌におけるセンチネルリンパ節ナビゲーション手術

小村 健
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 顎口腔外科学分野
 



 今日、口腔癌治療においては個々の症例に術前化学放射線治療による縮小・低侵襲手術や、超選択的動注化学放射線療法など非外科的治療により、癌の根治性を損なうことなく術後のQOLを保持しようとする個別化治療がなされつつある。
 こうした中でも、依然として実施される頸部郭清術は機能的ならびに整容的に大きな後遺症をもたらす。そこでcN0症例に行うことがある予防的な頸部郭清術を省略することができれば、QOLは大きく向上することが予測される。しかし、この頸部郭清術を行わない場合には頸部再発の危険性、さらには予後の悪化が懸念される。
 今日、頸部リンパ節転移の診断には触診の他に、CT、MRI、PET、超音波などの画像診断や超音波ガイド下のFNACなどが行なわれているが、その術前診断には限界があり、特に微小転移は最新の画像診断法を活用しても診断は不可能である。そのためcN0症例におけるリンパ節転移の対策としては、予防的頸部郭清術を行う、予防的に放射線治療を行う、あるいは注意深く経過観察を行う、などが選択される。
 われわれは、口腔癌においてもセンチネルリンパ節生検により頸部郭清術の適否を決定しうること、すなわちセンチネル概念が成立することを検証し、その後、現在までセンチネルリンパ節ナビゲーション手術を行っているので、その概要を報告する。
 センチネルリンパ節生検の方法は、手術前日に腫瘍周囲4箇所の粘膜下に99mTc-フチン酸40MBqを分注しLymphoscintigraphy(含SPECT)を撮像し、手術当日にhanded gamma probeを用いてセンチネルリンパ節を同定・摘出し、転移の有無をH-E染色、CK免疫染色(AE1/AE3)、RT-PCR(CK17 mRNA)により判定するものである。

小村 健 先生略歴

1975年3月 東京医科歯科大学歯学部 卒業
1975年4月 東京大学医学部大学院(口腔外科)入学
1977年8月 東京大学医学部大学院(口腔外科)中退
1977年9月 千葉県がんセンター 頭頸科勤務
1985年4月 千葉県がんセンター 頭頸科医長
1995年4月 千葉県がんセンター 頭頸科主任医長
2001年4月  東京医科歯科大学大学院 教授   
2005年4月 東京医科歯科大学 硬組織疾患ゲノムセンター
先端診断法開発部門 教授併任
現在に至る


■特別講演
 



PETによる口腔顎顔面腫瘍の核医学診断

遠藤啓吾、宮久保満之、石北朋宏
群馬大学大学院医学系研究科画像核医学分野、同 顎口腔科学分野
 



 CT、MRIなど画像診断の進歩は目覚ましく、正確な病気の診断、的確な治療には画像診断が不可欠となっている。ブドウ糖の誘導体FDGを用いてブドウ糖代謝を画像化するFDG-PETは、まず脳の研究に使われたが、まもなくして癌の広がりを見る病期診断、治療効果の判定、再発の有無の診断などに役立つことが明らかとなった。
 PETが機能画像と呼ばれるのに対し、CT、MRIは形態画像と呼ばれる。PETの欠点は分解能が悪く、画像が劣ることであったが、形態画像と機能画像を一度に撮影することができるPET/CT一体型装置が開発され、PETの欠点を克服できるようになった。別々に撮影されたCTとPETの写真を見比べながら診断していたのに対し、PET/CT一体型装置で撮影された場合、CTとPETを機械的に重ね合わせたものなので、ブドウ糖代謝の亢進した部位がどこか、FDGの異常集積部位を正確に知ることができる。特に頭頚部領域は、FDGの非特異的集積、生理的集積が多く、診断に困難をともなっていたが、PETのみに比べPET/CTが特に役立つ。
 半減期が2時間のフッ素(F)-18標識したFDGであるが、(株)日本メジフィジックスにより市販されるようになったお陰で、施設内にFDG製造用の小型サイクロトロンが不要で、PETカメラだけを購入すればよいようになり、FDG-PETが一気に普及した。
 FDGの欠点を補うべく、FDGに次ぐ新しい腫瘍診断用PET薬剤の開発研究も行われている。ここでは口腔顎顔面領域におけるPET、PET/CTの現状とこれからの展望について述べる。
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遠藤啓吾 先生略歴

1970年 ?9月 京都大学医学部卒業
1970年11月 医員(研修医)(京都大学医学部附属病院放射線科)
1972年10月 坂出回生病院勤務(1974年3月31日まで)
1974年 4月 京都大学大学院医学研究科博士課程
1978年 4月 文部教官 京都大学医学部(核医学教室)助手
1978年 9月 アメリカ合衆国ハーバード大学医学部
ベスイスラエル病院留学  (1981年2月12日まで)
1981年10月 文部教官 京都大学医学部(核医学教室)講師 
1987年 7月 文部教官 京都大学医学部(核医学教室)助教授
1991年 4月 文部教官 群馬大学医学部(核医学教室)教授
群馬大学医学部附属病院 放射線部長
2003年 4月 群馬大学大学院医学系研究科 教授
現在に至る

 

 

 

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